2/12 ナビオス横浜公演での Q&A、出演者からのコメントをご紹介します!

2月12日(土)にナビオス横浜で開催されたイベント「横浜港発、SDGs行き!」でのQ&A、
そして、ご出演されたいぶくろ聖志さんと原田サトシさんからのコメントもご紹介します。

◆トークセッションゲスト、Q&A ご回答:株式会社 平泉洋行 取締役 池田隆氏 

Q1 海外のプラスチックの回収やリサイクルは進んでいるのですか?

<答え>
東南アジアなどの途上国では、リサイクルに関しては多くの問題があります。
レジ袋、容器、カトラリーなどの販売が禁止されるなど、フランスでは、One Wayプラスチックに関する規制が強くなる一方で、日本では有料化という形で禁止まではされていないです。またリサイクルに関しても、燃料として利用するサーマルリサイクル(サーマルリカバリー)が多いので、マテリアルリサイクルに関しては、日本も海外同様に、まだこれからです。

Q2 ゴミ回収機のSeabinは川でもつかえますか?

<答え>
使用することはできますが、あまり流れが速い場所では効率的に浮遊ゴミが回収することができません。あとは、川に設置する場合は、マリーナなどに比べると管理者が様々なため、許認可に時間を要します。また、一時的な設置は許可されても大雨、増水時の対応が必要なため、恒久的な設置はまだありません。

Q3 Seabin, Jellyfishbotは活用されていますか?今後についてはどうですか?

<答え>
Seabinに関しては現在20台設置されており、現在の在庫14台の販売先も、ほぼ決まっている状況です。新しいバージョンが今年末頃から販売される予定です。Jellyfishbotは、八景島シーパラダイスを始め、レンタルで4台が利用されています。用途は、八景島シーパラダイスのように、楽しみながら海洋ゴミ問題を学ぶ体験であったり、漁港での浮遊ゴミ回収、大学院でのマイクロプラスチック回収、CSR活動などで利用頂いています。

Q4 ゴミ回収機の販売・普及以外で環境問題へのビジネス以外の社会貢献を何かされていたら教えてください。

<答え>
海洋問題以外の環境問題としては、ビジネスではプラスチック資源循環の必要性、カーボンニュートラルなどがありますので、プラスチックのリサイクル等にも積極的に取んでいます。その関係で、ビジネス以外では、プラスチック類の分別を今まで以上に取組むようになりました。プラスチックは単一素材で同じ色でないと良いリサイクル素材とならないため、ペットボトルの周りのフィルムは必ず外す、4パックのヨーグルトの紙のラベルも外すなど、単一素材&カラーになるように分別するようになりました。

Q5 身近なところでプラスチックのリサイクルに関われることはどんなことがありますか?

<答え>
ペットボトルを購入する場合は大きいサイズとして、小さいペットボトルの購入は減らすようにして、マイボトルを持ち歩くようになりました。リサイクルしやすい(良い素材のための)プラスチックの分別に関しては、Q4でご説明した取り組みをしています。

Q6 全国的にプラスチックゴミのポイ捨ては減っているのでしょうか?

<答え>
もともと日本人はポイ捨ては少ないと思っていますが、減っているとかの統計は見たことがないので分かりません。ただし、海洋問題(プラスチックの溢れる海、海洋生物への影響、マイクロプラスチック)を身近な問題として認識することによって、陸にあふれたゴミ(例えば自販機横のゴミ箱にペットボトルがあふれている、またはそれ以外のごみが一緒に捨てられている等)が川に飛ばされて、海に流れていくということを認識するだけで、意識は変わってくると思います。

Q7 深海や外洋での回収はどうなっていますか?また、港湾内での船舶の安全性確保のためのルールはどのようになっていますか?

<答え>
現状では有効的に回収する方法は無く、ダイバーの方が潜って回収する方法になってしまうと思います。港湾内での船舶の安全性に関しては詳しくありませんが、当社の装置を港湾の管理しているエリアに設置、または利用する場合は、許可を得るために装置の説明や、災害時、非常時の対応の説明が必要となります。

Q8 行政にはたらきかけたり、また行政から助成があったりはしますか?

<答え>
行政から問い合わせがあり、導入頂くこともあります。また、一部の行政ではSDGsの助成金の対象にして頂いた県もあります。

Q 9 回収されたプラスチックゴミは、どのようにリサイクルされているのですか?
分別されて焼却されているのですか?

<答え>
現在は、海洋で回収されたプラスチックごみは草木類の可燃ごみと分別されて産業廃棄物として焼却されています。

Q10 プラスチックゴミの分別はどのようにされているのですか?人手でされているのですか?

<答え>
プラスチックごみをある程度は分別できる装置や、ペットボトルのラベルを剥がす装置、ペットボトルの蓋の色を判断する装置など日本の技術は優れているので可能ですが、そのような装置を利用しても最終的には、人の作業が必要になることも多いと聞いています。あとは、そのような装置や人手を使うほどコストがかかりますので、リサイクルした製品の価格が高くなってしまいます。高くなると購入する人が少なかったりコスト高の費用を企業が負担するとなると大変なので、皆さんが少しでも意識して正しい知識で分別することが大切だと思います。

Q11 回収したプラスチックゴミを資源として販売する仕組みを作ることはできないですか?

<答え>
現在は、海で回収したペットボトルを洗浄して、繊維(衣服)にする取組もしています。

◆ トークセッション進行役:いぶくろ聖志氏

今回のイベントではトークでの進行役を務めさせて頂きました。
稚拙な進行ではありましたが、株式会社 平泉洋行の池田隆さんや二胡演奏者の原田サトシさんの経験や知識、展望を参加者の皆さまに共有する一助を担わせて頂いくことができました。

大きな社会問題に接すると自分の無力感を感じてしまうことが多いのではないかと思います。それでも、少し問題を深く掘り下げて知っていくことで、奮闘してくれている人たちがいることに気づくことができます。いま、多くの人に日常生活の便利さの副作用としての環境破壊、社会問題が段々と認知されてきています。便利さを否定するのではなく、副作用を知った上で適切な距離感を保てるようにすることが個人的には今後の持続可能な発展のためには重要なのではないかと思っています。

そして、すでに起きてしまっている環境破壊、社会問題を少しづつseabinやjellyfishbotのような新しい技術、原田サトシさんのお話にあったような丁寧な活動を通して解消への糸口を拡げていくこと、さらに副作用への理解を個々人が深めていくことで自分の未来のために良いと思える選択をしていけるように、このようなイベントが力になるのであれば嬉しいです。


◆ トークセッション&ミニ・コンサート出演:原田サトシ氏

今回のトークセッションには、環境問題への関心が特に強いわけでもなく、世間一般の問題認識しか持ち合わせていない層の代表として、参加させて頂きました。日常では見聞きすることが少ない海洋プラスチックごみの問題の事例をいくつか知ることができ、環境意識を高めて個人でできる小さなことから改善していく必要を感じました。まずは問題を知り、それに対処して下さっている方々の存在に気付けること、これが私のような一般層にできることの第一歩だと思います。

私は以前2000年代のころ約6年間中国で暮らし、日本大使館職員や某NGO職員として、貧困開発や震災後復興支援などの仕事をしておりました。海外と日本の環境意識の違いについて、中国の場合を申し上げますと、教育水準や暮らしの豊かさの違いから、日本に比べると大きく遅れているように感じます。滞在中、大連から天津までの移動や、長江下りなどで何度か船を利用したことがありますが、食べ終えたカップ麺のゴミをスープごと海や河に投げ捨ててしまうような人も多くいて、日本ではまず目にすることがない光景を幾たびも目にしました。

しかしながら、富裕層を除く大半の中国の方々に比べ、我々日本人一人ひとりのプラスチック製品保有量というのは圧倒的なものがあります。私が訪れた中国奥地の小学生たちは、シャープペンやボールペンを持っていませんでした。村で育つ赤ん坊が使う食器も、先の丸い安全なプラスチックのフォークではないのです。私たち日本人は、車や諸々の家電製品、食器類や文具類、あらゆる場面でプラスチック製品の恩恵を受けています。市場で売られている食品や諸商品も、包装が簡素な中国に比べ、日本では一つ一つ丁寧にプラスチック袋やトレー等に入って私たちの手元に届きます。いくら日本人の方が環境問題について考える機会を多く与えられているとしても、実際にごみとしてプラスチック製品を排出してきた量は、大半の外国の方に比べ、私自身のほうがはるかに多いはずです。

効果の高い環境対策のためにも、豊かな暮らしに恵まれている自分たちこそが、一度真剣に生活スタイルを見直し、改善していく必要があるように思います。私にも子どもが二人おりますが、家庭教育の場で、今回学び得たことや、一人ひとりが環境問題を考えることが大事なのだということを、少しずつ伝えていければと思います。